Shuhei
Iida
飯田 修平准教授
理学療法学科
研究分野はリハビリテーション科学(理学療法学)、脳神経科学(融合脳計測科学)、医用システム(医用ロボット)。主にニューロリハビリテーションの領域において、ロボットを使用したリハビリテーションや、機能的近赤外分光法を使用した脳活動の研究、VRを使用したリハビリテーション研究をなど行っている。
飯田 修平准教授
理学療法学科
研究分野はリハビリテーション科学(理学療法学)、脳神経科学(融合脳計測科学)、医用システム(医用ロボット)。主にニューロリハビリテーションの領域において、ロボットを使用したリハビリテーションや、機能的近赤外分光法を使用した脳活動の研究、VRを使用したリハビリテーション研究をなど行っている。
現代社会において、脳血管障害者の入院や治療に伴う医療費の増加、要介護人口の増加は大きな課題となっている。脳血管障害の代表的症状には、損傷側の脳と反対側の運動麻痺(片麻痺)が挙げられ、歩行障害や日常生活の動作の低下を招く。リハビリテーションには、こうした脳血管障害を患った方が可能な限り身体的、精神的、社会的に健康に近い状態を目指し、医療・介護に依存しない自立生活を目指すという重要な役割がある。
近年、リハビリテーション科学とロボット工学の発展に伴い、ロボットを使用したリハビリテーションが注目されている。日本は世界でもトップクラスのロボット先進国である。しかし、医療現場での単脚・局所型歩行ロボットを使用した臨床研究は少ないのが実情だ。
「こうした課題を解決すべく、私は脳卒中片麻痺者を対象に、単脚・局所タイプの歩行支援型ロボットを使用し、医療現場にて介入効果を検証しています。大学では、その礎となるロボット使用時の脳活動や筋活動などの基礎的研究を行っています」(飯田 修平 准教授)
医療現場での介入効果の研究では、脳卒中片麻痺患者を対象に、ロボット型長下肢装具、ロボット型短下肢装具を使用したランダム化比較試験や前向き探索的比較試験を病院で実施中である。ロボット型長下肢装具を使用した群では、歩行時の麻痺側下肢への荷重時間の増加と左右対称性割合の向上が認められた。現在は腰部装着型ロボットの臨床活用も検討している。
脳活動の研究では、脳卒中後遺症者や一般成人を対象に、ロボット装置使用時の脳活動を測定している。機能的近赤外分光法を用い、大脳表層の血流動態の変化を観察している。
近年では、日本をはじめ世界中で多くの先端機器が開発されてきている。リハビリテーションに関わる先端機器の効果や利点欠点を把握し、患者の疾患や症状別に分類することが次なる課題である。本研究を通して、脳卒中片麻痺患者のリハビリテーションのエビデンス向上、治療の選択肢の拡大を提唱することが可能となる。
人工知能(AI)やロボットなど、先端技術の革新により産業界は大転換期を迎えている。また、昨今の新型コロナウィルスの感染拡大により、ヒトとヒトとの対面での接触が避けられ、密にならない環境が求められる中、皮肉にもそれらの技術は急速な発展の後押しを受けている。医療界でも、オンラインを使用した遠隔診療や受付対応のロボットの導入なども進んでいる中、リハビリテーション分野においても様々な先端技術の開発や臨床研究が進もうとしている。
「今後のビジョンとしては、歩行支援型ロボットに限らず、現在開発されている様々なタイプのロボット(コミュニケーションロボット、上肢運動ロボットなど)やVR、BMI、人工知能など、ハイテクノロジー分野とリハビリテーションの融合に力を入れていきたいと考えています。脳卒中や神経難病などの疾患の後遺症で悩む方々、一人暮らしの高齢者、医療・福祉資源が乏しい地域で暮らす方々など、先端技術をうまく活用してサポートしていきたいです。研究者として大切にしていることは、“実学”。理学療法士として医療現場に出ることです。日々、患者さんのリハビリと向き合うことで、“歩けない人に歩いてもらいたい”という、私自身の臨床活動と研究の原点を忘れないことを意識しています」(飯田 准教授)