レーザーをエネルギー源とした駆動システムの構築
THU Innovations
THU Innovations

レーザーをエネルギー源とした
駆動システムの構築

  • 治療用レーザー
  • 光ファイバー
  • 駆動源
  • リアルタイムMRI

Shigeru
Omori

大森 繁教授

医療科学科 臨床工学コース

博士(医学)。工学修士。主な研究分野は、医用工学。電気メーカー、医療機器メーカーで固体レーザー、手術用機器等の研究開発および製品化を行ってきた。現在は、高出力の半導体レーザーと光ファイバーの組み合わせを利用した、新たな治療デバイスの開発に取り組む。

電気の使用に制限がある環境では、レーザーが好適な駆動源になる

外科的処置具を必要としない治療用レーザーは、眼科や形成外科・歯科・美容外科など、幅広い医療分野で用いられている。近視や乱視を治療する手術として注目を浴びているレーシックは、その代表的な事例と言える。体への負担が少ない治療用レーザーだが、光ファイバーを使用する場合は、波長によっては伝送に向かないという課題も残っており、さらなる発展の道が模索されてきた。

現在、大森教授は「医療用レーザーの開発とその応用」という一貫した研究テーマのもと、レーザー最大の特徴である「電気配線を使用せずにエネルギー伝送ができる」という強みを活かし、新たな駆動源の開発に注力している。

「例えば、診断で使用されているMRIは強磁場を発生させるため、治療に用いようとした場合、電気デバイスを使うこと自体が制限を受けます。そうした環境でも問題なく動作する機械装置の駆動源には、レーザーが好適となります」(大森 教授)

レーザー光をエネルギー源とした駆動システムの構築を目指す

一般的には、レーザーそれ自体を用いて熱や化学反応を起こさせることで、様々な応用が成されている。しかし、機械的な運動をさせるとなると、ひと工夫が必要となる。大森教授は「レーザーの熱で蒸気を発生させ、その力を回転運動に変換。モーターの駆動源として利用すること」に取り組んでおり、光ファイバー先端部のチューブに装着したピストンを前方に動かすところまでは成功している。今後は実用化に向けて制御性や、安定性が得られるような仕組みを構築していく予定である。

「前例がなく、まだ原理確認段階ですが、一つひとつの現象を分析し実用性を見極めていく予定です。MRIへの応用に関しては、リアルタイムでMRIを治療に使用すること自体が開発途上のため、これらが汎用化するタイミングまでに、本研究が活かせるよう課題の分析と解決のための工夫を重ねていくことが重要だと考えています」(大森 教授)